「注文は毎日入っている。でも、月末に手元を見るとほとんど残っていない」— ラーメン店のオーナーから、よく聞く悩みです。
Uber Eats の画面上では売上が伸びているのに、利益が増えた実感がない。これは気のせいではありません。ラーメンという業態には、デリバリーで利益が削られやすい構造的な理由があるからです。
本記事では、その理由を3つに整理し、それぞれにどう手を打てば利益が残るのかを解説します。
ラーメンはもともと、麺・スープ・チャーシュー・トッピングと、一杯あたりの構成要素が多い料理です。手間をかけたスープや厚切りのチャーシューが売りの店ほど、原価率は高くなりがちです。一般に飲食店の食材原価率は 30% 前後が目安とされますが、こだわりのラーメン店では 35% を超えることも珍しくありません。
ここに Uber Eats の手数料が重なります。デリバリーの注文には、店舗が負担するサービス手数料がかかります。つまりラーメン店は、もともと高めの食材原価に、デリバリー手数料という二つ目の負担が乗る「二重圧迫」の状態になりやすいのです。
店内飲食であれば原価率 35% でも利益は出ます。しかし同じ価格のまま、そこにデリバリー手数料が加わると、一杯あたりの利益は大きく目減りします。「店内では儲かるメニューが、デリバリーでは赤字に近い」— この逆転が、利益が残らない最初の原因です。
上の試算はあくまで一例で、手数料率や原価は店舗によって異なります。ただ構造として、店内飲食と同じ価格・同じメニューをそのままデリバリーに流すと、利益はここまで薄くなりうるということは押さえておくべきです。
ラーメンは「汁物」です。これがデリバリーでは大きなハンデになります。
スープが漏れないように密閉性の高い容器が必要で、麺がのびないようにスープと麺を別容器にする店も多い。さらにトッピングを分ける小カップ、断熱性のある袋と、一杯を届けるための包装点数が、丼物や弁当よりも明らかに多くなります。容器のグレードを上げるほど、一杯あたりの包装コストは積み上がっていきます。
この容器コストは、単品では数十円の差に見えても、月間の注文数を掛ければまとまった金額になります。理由1の原価率と合わせて、「売れた数だけ利益が削られる」構造が生まれているのです。容器を安いものに替えればコストは下がりますが、今度はスープ漏れや麺のびによる低評価のリスクが上がります。品質とコストのどちらを取るかという、汁物ならではのジレンマがここにあります。
ラーメンは、昼と夜のピークタイムに注文が集中する業態です。お客様が「今すぐ食べたい」と思うタイミングが明確で、その時間帯に注文が一気に押し寄せます。
問題は、ピークに注文が集中すると調理キャパシティを超えてしまうことです。店内のお客様とデリバリーの注文が同時に重なれば、厨房は一気に逼迫します。その結果、調理開始が遅れ、配達員の待ち時間が延び、お客様の手元に届くまでの時間が長くなる。のびた麺、ぬるくなったスープが届けば、評価は下がります。
そして Uber Eats では、評価の低下が長期的な露出ダウンにつながります。お客様の検索結果での表示順位は運営の成果に左右される部分があり、評価や配達品質はそこに影響します。一時的な混雑のしわ寄せが、数週間後の注文数の減少として返ってくる。これがピーク集中の怖いところです。短期の機会損失だけでなく、中長期の集客力まで削ってしまうのです。
利益が残らない3つの理由は、どれも「ラーメンという業態の特性」と「デリバリーの仕組み」がかみ合っていないことから生まれます。裏を返せば、業態に合わせて運営を設計し直せば、利益は残せます。
3つの理由に、それぞれ対策があります。順番に見ていきましょう。
店内のメニューをそのまま載せるのをやめ、デリバリー向けに品揃えを組み直します。ポイントは原価率を意識した設計です。原価率の高い看板メニューだけに頼らず、原価率を抑えられるサイドメニューやトッピングを揃えることで、注文全体の利益率を平準化できます。逆に、配達中にどうしても品質が落ちやすいメニューは、デリバリーでは外すという判断も有効です。「店で出せるもの」と「デリバリーで利益が残るもの」は別物だと割り切ることが第一歩です。
理由1・2で削られるコストは、価格戦略で吸収します。具体的には、容器コストや手数料を価格に織り込んだデリバリー価格を設定すること。そのうえで、トッピングやサイドを組み合わせたセットを用意し、注文単価そのものを引き上げます。単価が上がれば、一回の配達にかかる固定的なコスト(容器・手数料の最低負担)が相対的に薄まり、一注文あたりの利益が厚くなります。「安く・薄利多売」ではなく「適正単価で利益を残す」方向に設計を寄せるのが、デリバリーでの定石です。
ピーク集中は、注文を平準化することで和らげます。たとえば、ピーク直前・直後の時間帯に絞ったクーポンや施策で注文を前後にずらす、キャパシティを超える時間帯は一時的に受注を絞る、といった運営です。「無理に全部受けて評価を落とす」より、「捌ける量だけ受けて品質を守る」ほうが、長期の露出にはプラスに働きます。どの時間帯にどれだけ注文が入っているかをデータで把握し、厨房のキャパと突き合わせて設計することが鍵になります。
ここまでラーメン店を例に解説してきましたが、これはあくまで一つの業態の話です。デリバリーで利益が詰まるポイントは、業態ごとに違います。
カレー店は容器コストの悩みが小さい一方で原価と単価のバランスが課題になり、カフェは客単価の低さと注文の波が壁になります。居酒屋はメニュー数の多さと一品あたりの利益設計、クラウドキッチンは複数ブランドの最適配分と、それぞれ詰まりどころが異なります。同じ「Uber Eats で利益が出ない」という悩みでも、原因も処方箋も業態によって変わるということです。
自店の業態では何が利益を削っているのか。その見極めから、利益改善は始まります。業態ごとの伸びしろの違いについては、業態で変わる Uber Eats の伸びしろでも詳しく解説しています。
本記事の原価率・容器・手数料に関する記述は、飲食デリバリーにおける一般的な業界知見に基づくものです。ChopChop は山海株式会社が運営する Uber Eats 専門の運営支援サービスです。